「おもスロい話」とでも言っておきましょうか。
これは私の友人のお話。
私は彼の虜でした。今も虜です。
仕事仲間から友人になった人が居ます。
彼は根っからのパチンカス。
収支がどうとか、期待値がどうとかそんなことは
関係ない。
ただただパチスロを楽しんでいた
今も楽しんでいる彼。
彼はよく言っていた
「体調が悪い、もう1週間スロ打ってないから。」
笑わせてくれます。
パチスロを打たないと体調が優れなくなります。
パチスロを打てないと活力が無くなります。
仕事が終わり「このあと飯でも行くか?」
のような誘いをすると彼は
彼「疲れたから真っ直ぐ帰る」
私「そうか、お疲れ様」
私は仕事終わりにコンビニに寄っていることが多かった。
その時決まって目にするんだ。
隣のパチンコ店に凄いスピードで入っていく、彼の車。
そう、彼は「真っ直ぐ帰る」と言った。が
家に帰るとは言っていないんだ。
私は言及しなかった。
何故なら、彼にとってはパチンコ店が最も疲れを癒し
くつろげる「ホーム」なんだと私が勝手に
納得していたからだ。
私はパチスロで稼いでいた時期があった。
基本的にはハイエナと呼ばれるセコい方法で期待値を
稼いでいた。
打てる台が無ければ打たないというスタンスの
私に反して。
彼は基本的に期待値は追うが、打てる台が無ければ
好きな台を打つというスタンスだった。
そんな私と彼の関係を「パチンコパチスロ 嘘」で
文字にします。
私はよく彼をパチスロ稼働に誘っていました。
私「金は出すから、稼働を手伝ってくれ。
狙い目な台しか打てないがな。報酬は結果次第。」
彼「喜んで」
私が彼の嘘を暴いた。 1回目。
とある日曜日に私が彼を誘った。
私「朝イチから狙える台あるから暇なら行こう」
彼「あい」
そして車を出し、約束の時刻に彼の待つ場所に付いた。
が、彼は居なかった。
私の送ったメッセージに既読は付いていなかった。
30分待った。
それでも既読は付かず、彼からの連絡は無かった。
(寝てるのかな?まぁしゃあないか)
切り替えて稼働に向かった。
12時を回ったところで彼から電話が来た。
彼「親戚の葬式が急遽入ってバタバタしてたわ。すまん
夕方には終わると思う。」
私「いいよ。仕方ない。元気があれば飯だけでも行く?」
彼「行く」
私は独りで稼働を続け、16時頃、最後のパチンコ店の
駐車場に着いたところで彼に電話をした。
私「どう?行けそう?」
彼「葬式のあとそのまま飯食いになっちまったから
行けそうにないわ、すまん。」
私「そっか、分かった。最後の稼働してくるよ。じゃ」
彼「あい」
そして私はその日最後のパチンコ店の扉をくぐった。
私は目を疑った。
目の前に、すぐそこに、彼が居た。ように見えた。
いや、多分、いや、人違い、いや…頼む。他人で会ってくれ。
その他人はまどマギを打っていた。
が、こっちを向いた。
彼だった。彼と瓜二つの顔だった。
その瓜二つは前を向き直った。
私は笑った。パチンコ店の入り口で声高らかに。
負の感情は一切無かった。
ただただ面白かった。楽しかった。
彼が本当に彼なら、今彼の気持ちは、感情はどうなっている?
焦り?不安?恐怖?怒り?それとも私のように楽しい?面白い?
私は彼との距離を詰めた。肩に手を置き。聞いた。私の第一声は
私「今、どんな気持ち?全く読めない。教えて」
彼「まどまぎおもろい」
私は笑い転げた。
最高だった。私が人生でつかれてきた嘘の中で
最も楽しい、幸せな嘘だった。
そして最高の気分だった。この友人と出会えたことを
心から喜んだ。
彼は根っからのパチンカスだ。そしてギャンブラーだ。
彼は朝、寝坊をしたそうだ。だから嘘をついて
彼のタイミングで、彼のやりたいパチスロが
出来るように賭けたんだ。
今日1日、私を騙し抜くことが出来れば、彼は
寝坊したにもかかわらず「葬式で来れなかった人」
で済み、大好きなパチスロを打てたんだ。
だが、私にバレた。賭けに負けたんだ。
賭けに負けたと察した彼の次の行動は
即時「目の前の賭けを楽しむ」だった。
悩んでからの決断とかではない。
即時「損切り」だった。もはやプロギャンブラーだ。
嘘をつかれたのに私は笑い転げている。その状況が
面白すぎて。
楽しくて仕方がない。彼と彼にに会えた私の関係が。
ただ念の為、彼にはこう言った。
私「私に嘘をついたところでなんも得しないぞ。
むしろ損するぞ?他人の金で打てなくなるのは得?
損でしょ?」
彼「確かに」
私は彼に、今後二度と私に嘘をつかないように。
私と「賭け」をしないように言った。
面白く楽しい、幸せな時間をもっと過ごしたいから。
約束をした。
が
それから僅か1週間で事件は起きた。